内容説明
帰れなかったのか、帰らなかったのか…不可避的漂流者から意図的漂流者へ―激動の時代、歴史に振り回されながら、太平洋上でまた異国で、必死に運命を切り開き、生き抜いた、幕末の漂流者たちの哀しく雄々しい壮絶なドラマ。
目次
開国前―意図せざる漂流者(帰れなかったロビンソンたち―寿三郎と庄蔵の書簡(一八三七)
島原太吉メキシコ漂流記―帰らなかった漂民との分かれ目(一八四一‐四六)
モンゴロイドは黒潮によってロビンソンする―ラナルド・マクドナルド(一八四八)
万次郎異聞―不可避的漂流者から意図的漂流者へ(一八四一‐五十)
黒船に漂着してしまった仙太郎―日本最初のパブテスト信者(一八五三))
開国後―意図する漂流者(黒船漂着に失敗したジャパニーズ・ロビンソン、吉田松陰漂流記(一八五四‐五九)
成功したジャパニーズ・ロビンソン、新島襄渡航記(一八六四)
「ジャパニーズ・ロビンソン・クルーソー」を名乗った、小谷部全一郎(一八八八))
著者等紹介
岩尾龍太郎[イワオリュウタロウ]
1952年福岡市生まれ。1977年東京大学人文科学研究科博士課程修了、西南学院大学国際文化学部教授を務め、2010年9月10日逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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J.T.
6
重点は漂流生活というよりロビンソン的な気質を過去の書物の中から静かに熱く紹介した本。日本を驚異の国と思い込み、密入国したインディアンの血をひくラナルド・マクドナルドや、メキシコに漂流した島原太吉たちのこと、吉田松陰の黒船への侵入の試み(これは映画にしたら爆笑シーンになること、間違いない)、そんな姿に共感して松蔭の伝記を記したスティーブンソンなどなど、この本を幹に個別のケースを読んでいくことにしたい。非常に面白かった。2017/06/06
takao
2
絶筆2023/07/09
ようはん
1
「江戸時代のロビンソン」の続編で著者である岩尾龍太郎先生の遺作。前半はジョン万次郎ら幕末の漂流民を取り上げているが、後半は吉田松陰や新島襄、日本のロビンソン・クルーソーと名乗った小谷部全一郎等、著者のいうロビンソン・クルーソー的な海外への挑戦者を取り上げている。前作でも感じたが故郷に帰りつく事が出来てもジョン万次郎のような成功者はごく一部といった印象で帰国後に早逝したり海外での体験を生かせる事なく不遇の人生を送った人が多いのはなんとも言えない。2019/04/28